※2014年10月26日 吉野純粋蜂蜜店のギャラリーにて 鑑賞者との対話から

 

三枝:つくる、つくり方、みたいなところからふたりで一から考えないといけなかったので…階段がある、90°じゃない、変な、しかも床が…床も壁もあんまりない、空間を使うっていうことで、取っ掛かりにして、この場所に入っていくっていうことをふたりでする、というところから考えはじめて。それと、なんだろう…作品まではいかなくても、高校の同級生なので…高校時代にことばあそびみたいなこととか、なんかちょっとしたものをつくって相手に渡したり、みたいなことをやってて。そういう要素を第三者に見せる、第三者が見る作品として意識的にやってみようっていうことを、決めて。

 なのでそのために、イメージの共有のためのドローイングみたいなことをたくさん繰り返していったりとか、今、つくってるものを相手に渡して、相手のつくったものを自分がもらって。とか。なんか、ひとりのためにつくられるかたちみたいなものがたくさん出てきてて、それをあの部屋( 第二室『おかわりとなみだ』)の中に展開してて。だからほんとに高校時代とかの、作業していくなかで思い出された作品だったりとか、そういうものも入っていたり…するんですけど…でも、それっていうのはあんまり、ほんとにふたりのあいだでのやりとりでしかないので…みせるけどみせないっていうかたちをとっていて。

 この立体( 第一室『埋まらない穴を埋めるためのかたち』)も、ふたりでドローイングをしながらイメージを擦り合わせていって、構造自体は坂下がつくって、それをここに持ち込んで、ガーゼをふたりで巻いて、わたしが最終的に色をつけたっていうかんじで。相手が彫刻科で自分が油画科なので…なんか、美術を勉強してきた環境は一緒だから、価値観とか、空間の入り方みたいなところは似てるんだけど、持ってる技術が違うから、それをうまく組み合わせながら、積み上げてく、というかたちで。ほんとに、なんか、ふたりの作家が一緒に何かしたっていうことじゃ、ないところでやろうとしてた。


鑑賞者:うん、そんなかんじはします。なんだろう…なんか友達ともまた違うかんじっていうか…あでもなんかこう恋人っていうかんじでもまた違って、もっと、もっと穏やかな。なんか、言葉…名前のつかない関係性だけど、すごく。うん。この蜂蜜屋さんでやってるのもいいのかもね。なんか、はちみつ、みたいなかんじがしました。やわらかい色というか、空気の色が。